新型コロナウイルスの影響でオンライン授業を実施している学校が増えています。
いまだにオンライン化できずに悩んでいる学校も多く、個人的に他校の先生方から問い合わせも多くもらうようになってきました。
急遽ICT導入を急いでいる学校も多々あるようです。
- 一刻も早くオンライン授業を実施したい。
- オンライン授業を実現するにはどんなICTツールを選ぶべきか悩んでいる
- ZoomとかMeetとかTeamsとかわけわからん!
というような方に役立つ記事にしたいと思っています。
本記事のテーマ

学校の現在のICT環境の整備状況に応じて、オンライン授業を始めるなら何を使えばいいのかを決断を下せるようにします。
記事の信頼性

私は大手IT企業でSE(システムエンジニア)やSI(システムインテグレーター)として勤務しました。その後教員となり、ICT教育を5年間推進してきました。
生徒全員が一人1台iPadを所持し、オンライン授業を現在も通常と変わらず「時間割通り」に実施することができています。
もちろん出欠席も確認しながら行っています。
また、本校では現在Teamsを中心として、Zoomやロイロノート・スクールも臨機応変に活用し、オンライン授業を進めています。
実際に使用していますので、教員目線でお話ができると思います。
読者さんへの前置きメッセージ

本記事では
学校で取り入れるべきオンライン授業のためのICTツールを検討している方や、今導入しているが教員と生徒からの評判がよくなく、ほかのツールを検討している方等
に向けてメッセージを書きます。
この記事を読めば、
自分の学校、授業にはどんなオンライン授業のためのICTツールを導入すべきか
が明白になると思います。
結論
- ICT環境が未整備なら「Microsoft Teams」
- ロイロノート・スクールなど課題提出、Classiなどチャット機能などがあるツールを導入済みなら「Zoom」
論拠
ICT環境が未整備の学校にお伝えしたいこと

ここで私の言う「ICT環境が未整備」とはどういう状態かというと
- 複数の生徒の顔が見れる「オンライン通話機能」を所持していないこと
- 個別の生徒と集団の生徒に対して、迅速に連絡を取りあえるチャットツール(双方向連絡)を所持していないこと
- 生徒が課題を提出し、それを確認して返却する「課題提出機能」を所持していないこと
この3つを持っていない場合をここでは「ICT環境未整備」と定義付けさせてください。
オンライン授業をしていて、これらの3つがあると普段とあまり変わらない授業展開ができると実感しています。
なぜ「ICT環境未整備」校にはMicrosoft Teamsを勧めるのか
それはこのTeamsを使えば、オンライン授業で最低限やりたいことをすべて実現することができるからです。
充実したチャット機能で
Teamsはチャット機能が大変充実しています。
LINEを使うのとほぼ同じ感覚で使用できますので、生徒も教員も簡単に使用することができます。
また、Office365を契約している学校でしたら、チャット機能で生徒を検索し、個別にチャットを送ることができます。(※Office365を契約しなくても生徒のメールアドレスがわかればできるかもしれません。)
既読が付く機能もありますので、「Teamsを使えば生徒や他の教員とLINEができる」と思えば理解しやすいでしょう。
情報共有は肝です。
オンライン授業をしていて、このチャット機能はいろんな面で活用しています。
生徒の質問対応はもちろんのこと、今後オンライン授業がいつまで続くのかやの情報伝達、ログイン情報の紛失の際にも活躍してしています。
※Zoomでもチャット機能は存在しますが、生徒の一括登録などが難しいようです。新着情報があれば記載します。
チーム機能も当然ある
特定の授業や学年でのチーム作成機能もあります。
チーム内で投稿すれば、全員に情報共有できますし、返信も可能です。
画像やExcel、Word、動画のデータなどもやり取りできます。
課題の配付なども行えます。
アンケートフォーム機能で生徒からの情報取集
進路希望調査や個人情報収集、感想文やポートフォリオの提出などを生徒に求めることがあるかと思いますが、これも可能です。
また遠隔授業で心身ともに疲れた生徒の心のケアも行えるように状況把握などもしています。
本校では上記のことはすべてTeamsで行っています。
詳しくは下の記事に記載していますので参照してください。

リアルタイムでオンライン授業もできる
ZoomやMeetと同じように生徒の顔を見ながら授業ができます。
教師側の様子だけでなく、生徒の様子もお互い見せ合うこともできますし、PCのデスクトップも共有することができます。
ロイロノート・スクールなど課題提出、Classiなどチャット機能などがあるツールを導入済みなら「Zoom」
結局のところZoomとTeamsどちらがいいの?
とよく周りの学校から聞かれますが、これは教員という目線から考えると、どちらでもよいというのが私なりの見解です。
ただし、気を付けなければならないのは「オンライン授業を実施する」という点だけで考えた場合に「どちらでもいい」という回答になります。
上記のように学校の教育活動として最低限3つ所持していたいツールがありましたが、これはZoomだけでは実現が難しいからです。
Zoomだけの導入ではきつい理由としては、
- 課題提出、添削が難しいこと
- チャットのチーム作成に手間がかかること
この2点です。
ですから、裏を返すと、
この2点を補填するツールを整備している状態であれば、Zoomの導入だけでオンライン授業は実現できると考えています。
例えばですが、
- 課題提出・添削→ロイロノート・スクール
- チーム作成が容易→ClassiやEdmodo等の教育SNS
で補填すれば、慣れているツールに一つZoomを加えるだけでいいですので、大変楽にオンライン化することができます。
またZoomは生徒全員の顔が見れることにメリットを感じています。
Teamsは発言者の顔が前面に出てくるのでサボっている生徒の確認がしづらいのが教員が嫌がるポイントの一つですね。
また、Zoomは生徒にアカウント作成の必要がなく、双方向型の授業展開ができますので導入ハードルがグッと下がります。
ZoomはURLを生徒と共有してしまえば誰でもミーティングに参加できるからです。
教育用SNSで教員がリンクを共有し、生徒はポチッとリンクを押下するだけです。
逆に言うとTeamsの場合はアカウント作成が必要になるのが教員の悩みどころ。
これが簡単なようでなかなか難しいです。
ですが、一度Microsoftのメールアカウントを作成してしまえば、あとの処理が大変楽です。
例えば、地理B、化学、数学Aなどのチームを作ったとします。
チームを作成すると、授業ごとにチームコードというものが発行されますので、生徒にそれを提示すれば、生徒がチームコードを入れて、授業に参加することができます。
Zoomにはその機能が見当たらないので、生徒をチームに招待する作業が膨大になる可能性があります。※もしその機能があれば私にも教えてください。
TeamsとZoomを教員目線で比較してみる
採点項目 | Teams | Zoom |
---|---|---|
ビデオ通話(生徒の顔が見たい) | ○ | ◎ |
双方向性(アクティブラーニングをしたい) | ◎ | ◎ |
課題提出(課題を提出させて添削したい) | ○ | △ |
教員スキル(ICTスキルの高低) | 中 | 低 |
アカウント作成 | 必要 | 不要(作成もできる) |
費用 | 無料可能 | 無料可能 |
チャット機能 | ◎ | △ |
ビデオ通話(生徒の顔が見たい)
これはZoomの方が若干優れていると感じています。
Teamsは全員の顔をみることができません。
喋っている人物が前面に出てきますのでサボっている生徒が発見できないので教員は嫌います。
ただ、私個人としては監視する必要はないと考えています。
双方向性(アクティブラーニングをしたい)
アクティブラーニングについては、教師によって定義が異なると思いますので、一概には言えませんが、ここでは
生徒と教員または、生徒同士が声でリアルタイムのやりとりをすることができるか否か
という観点で考えましたので、双方ともに可能で◎です。
課題提出(課題を提出させて添削したい)
これは圧倒的にTeamsに軍配です。
Zoomもファイルのやりとりなどもチャットでできますが、相手がタブレット端末だとやりとりできないという情報があります。
また、チャットでのやりとりですと生徒がバラバラの時間に課題を出すので、添削や提出確認をすることが大変億劫で、教員の負担もかなり増えてしまいます。
Teamsは拡張機能があり、「Forms」「課題」などの機能があります。
提出期限、提出生徒の確認なども一覧で出ますので、確認が容易です。
ただし、欲を言うなら添削が少し手間がかかります。
ロイロノート・スクールを本校では使用していますが、課題提出ならロイロをしのぐアプリは今のところないと思っています。
教員スキル(ICTスキルの高低)
これはZoomの方が上です。
ミーティングの立ち上げ→URLの取得(メール等でも可)→URLの共有
だけで生徒はミーティングに参加できますので超簡単です。
Teamsは一度扱えるようになったら楽ですが、マスターするまでに少々時間がかかります。
ですが、うちの学校では今年70歳で全くICT使えなかった教員が、普通にチャットしてますし、会議(ミーティング)していますのでちょっと研修すれば問題ないです。
アカウント作成
Teamsは必要、Zoomは不要です。
一見Teamsが面倒に見えますが、メールアドレスの取得をして生徒に扱えるようにして徹底しておくと、今後が楽です。
それこそ、アフターコロナでいろんなアプリをダウンロードさせ、登録させるときにメールアドレスを活用して登録させることができます。
Zoomはミーティングに参加するという使い方しかしないのであれば、アカウント作成は必要ないですが、チャットを使わせるときはアカウントが必要なので、結局アカウントを作成させる羽目にあう可能性があります。
費用
費用についてはどちらも無料でできます。
うちの学校の場合はOffice365を契約しています。
簡単に解説すると、教員アカウントは費用をかけ、生徒は無料で運用しています。
詳しくは下の記事をご確認ください。
うちが使っているプランも掲載しています。

Zoomも無料だと40分しか接続できないという欠点もあります。
チャット機能
チャット機能はどちらも使えますが、Teamsに軍配です。
Teamsはグループの作成と生徒をグループに参加させる方法が楽な点で優れています。
チームコードを発行できるので、生徒自身に授業への参加を促すことができますが、Zoomだと教員がやらないといけません。
特に規模が大きい学校ほど、効果が絶大だと思います。
Teams VS Zoom 総括
- ICT環境が未整備なら「Microsoft Teams」
- ロイロノート・スクールなど課題提出、Classiなどチャット機能などがあるツールを導入済みなら「Zoom」
結論として、TeamsとZoomどちらをオンライン授業で使うかですが、
学校の現状のICT環境を踏まえ、何が必要かを考えて導入を決める
ということが最も大切なことだと思います。
- 複数の生徒の顔が見れる「オンライン通話機能」を所持していないこと
- 個別の生徒と集団の生徒に対して、迅速に連絡を取りあえるチャットツール(双方向連絡)を所持していないこと
- 生徒が課題を提出し、それを確認して返却する「課題提出機能」を所持していないこと
結局、この3つの不足を埋めることができれば教員は満足してオンライン授業に望むことができますよ。
ZoomもTeamsもいいところがあれば欠点もあります。
今回はTeamsの良いところが目立った感じは否めませんが、Zoomにも「生徒が挙手できる機能」や「2大端末を使えば、同じ画面に2つの映像を映し出すことができる機能」などもありますので、授業によって使い分けるのも正解の一つだと思います。
またGoogleのG Suiteというサービスもありますのでそちらも検討材料にはなるかと思います。
本校は非常勤を含め、全員がオンライン授業に成功していますが、Teamsの存在は大変大きかったと感じています。
それに加え、Zoomやロイロノートなどの他のツールも備えてあったことが成功の秘訣かもしれません。
記事が参考になれば幸いです。