こんにちは!
今回は学校の授業で動画を作成する課題についてかなり深いところまで解説します。
ICTの活用を進めている先生方が一度は必ず考えるのは
「ICTを授業で活用すること自体が目的になってるよな」
「ICTを生徒に使わせてるけど、これは本当に意味があるのかな」
「アナログの方が学習効果は高いよなぁ」
「ICTは結局、生徒募集の為のエサなんじゃないだろうか」
ICT活用を進めているのはいいものの、本当の価値に気づけなかったり、自分がやってる教育が正しいのかどうか迷う時がありませんか?
ですが、この動画作成課題は大変素晴らしい学習効果をもたらしてくれます。
目次を用意していますので必要なところだけでも構いません。
読んでいただけると何かヒントになるかなと思います。
授業で動画作成課題を与える目的
授業で動画作成をさせる目的は
ICTを活用し、今までの教育では実現できなかった学習効果をあげることです。
ガリ勉して、試験で高得点を取れることが正義だと考えられていた日本の教育ですが、
これはこのサイトを見てくださる先生なら「もう古い」と思われていることでしょう。
動画学習では、知識の大量インプット、大量アウトプット、振り返りというPDCAサイクルを生徒自身が楽しみながら実現することができます。
さらに
- 「何のために学ぶのか」
- 「勉強のやる気が出ない」
- 「勉強は大学に行くため」
と考えている生徒でさえも、前向きにその教科・科目・その学問自体の本質的な「面白さ」に気づき、主体的に学ぶという効果が目に見えて出てくると思っています。
動画作成学習のメリット
動画学習では以下の効果があります。
ICTスキルが身につく
動画を作るためには様々なICT関連のスキルを必要とします。
動画の中で画像やBGM、効果音などの挿入や合成写真を作りたいなどの理想像が浮かぶと、そのために自分で調べようとします。
自分で調べて、ICTスキルを身に付けると、他者に共有しようとします。
それだけでも自己解決力やコミュニケーション力などの多くの力を育成できます。
インプット・アウトプットが深化する
動画を作るということは他者にわかりやすく伝えることや、最後まで見てもらうことが小さな目標になります。
生徒も動画を作る際には教科書だけではなく、ネットや専門書などから情報をかき集めて学びます。
わからない箇所は説明はできないので、自ら学ぼうとします。
また、アウトプットは、従来であれば「問題演習」で行ってきました。
ですが、動画作成学習のアウトプットは
「自分の持つ情報を発信し、他者に理解してもらうこと」
ということになります。
自分たちが作った動画を何度も繰り返し再生して、伝わりやすさを追求していくので、物事の本質に迫っていく答えが見えてきます。
思考力・判断力・表現力が身につく
生徒はわからない箇所を理解しようと考えます。
なぜわからないかを考えます。
わかったらどうすれば人に伝わるかを考えます。
論理的に人に説明しようと考えます。
知らずに思考力をつけていきます。
また、集めた情報を取捨選択する判断力をも身につけ、人に伝えることや楽しませようとするための工夫を凝らすような表現力を身につけます。
生徒はわかっているんです。
記憶の定着率が高く、試験の成績が上がる
教科書流し読みや、教師の言うことを聞いているだけなのとは違い、定着率が高いということは教師側も感じますし、生徒自身も感じているようです。
いつも赤点スレスレの生徒でさえも、楽しんでやってくれます。
アクティブラーニングやディスカッションの内容が深化する
学びを深めているので、教師からのツッコミにもメンバーで必死に答えようとします。
基礎的な知識が頭に入っているので、普段より高いレベルでディスカッションを進めていくことができます。
動画作成課題のデメリット
動画制作は時間がかかる
動画制作は時間がかかります。
まずは教科書やその他の資料を読み込むことから始まり、そこから全体図を考え、動画の編集技術を学びながら動画を作っていきます。
私は初めて実施した時は週4時間の授業でしたが32コマ分用意しました。
およそ2ヶ月です。これでも時間が足りないほどでした。
これは教科書をきっちり進めたい先生には難しいかもしれませんが、これだけ時間を使う価値はある内容だったと思います。
文科省の指定した教科書を終わらせることが教師の役目だろ!
と言うことをおっしゃりたいのもよくわかりますが、私は文科省が出している学習指導要領の中の達成目標を生徒にきちんと身につけさせることの方が重要だと考えています。
生徒のポートフォリオの内容を読む限り、私は動画作成学習は目標を達成するために大変効果があると確信しています。
進度が遅れる
もちろん32コマも実施すれば進度が遅れます。
賢いクラスなら20コマぐらいでもいけるかもしれません。
計画性が大変重要になってきますので、安易に始めるとあとで痛い目を見ますので注意です。
動画制作の個人差が大きい
当然ながら技術レベルの差や、興味関心の違いもあります。
生徒の中にも
という発言が振り返りのポートフォリオに残されていました。
その発言をしていた生徒はもちろん、その動画が作れない生徒を助けていました。
社会に出てもこういったレベルの差を感じることは多々あります。
その課題をどう解決するかを学ぶことも学習のひとつだと思うんです。
教員より高いレベルの生徒が出てくる
「生徒に聞かれたことに答えられないほど屈辱的なことはない」という方もいるでしょう。
価値観の問題ですので否定はしませんが、教師のプライドを守ことよりも「生徒の技術力が上がっていく方が価値がある」ことだと私は思っています。
私も普通よりはICT関連については詳しいと自負していますが、わからない質問をしてくる生徒は必ず出てきます。
その時の身の振り方で信頼を得られる教師になるのか、不信感しか抱かれない教師になるのかの分かれ目です。
私は、
と正直に「わからない」ことを伝えます。
バカにしてくる生徒や、それで嫌われることもありません。
先生は教えてくれないとも言いません。
大事なのは「嘘をつかないこと」です。
わからないなら生徒と一緒に調べてあげても喜んでくれるでしょう。
私は協働学習が大事だと思っていますので生徒同士で解決させるようにしています。
そして、生徒がわかったらあとで教えてもらって、褒め称えます。
あと、忘れてはいけないのは必ず学習に取り組む前に「共同学習の意義」と「私からは基本教えない」ということを伝えています。
他教科との調整が必要
動画学習は私は校内で最初にスタートさせました。
この取り組みを見ていた先生方にどんどん波及しています。
気をつけるべきなのは、全科目課題が動画制作になることです。
生徒を全員Youtuberにするならいいと思いますが、それはなかなかに拷問です。
ですが、本当は私はそれでもいいぐらいだと思っています。
これからは個人が誰でも情報発信できる媒体を持つ時代です。
Youtubeのチャンネルを全世界のほとんどの人が持っている時代にいつかなるかもしれません。(極論)
個人の情報発信が、ブログやSNSで広まったように今は動画で発信していく世の中になりました。
動画の作成技術が上がり、その技術を本業と結び付けてお金を稼いでいくことだって容易に考えられる世の中になっていることに気づくことが大切だと考えています。
デメリットは以上ですが、デメリットをデメリットとして捉えるのではなく、それをどう考えればポジティブに考えられるかということを理解することが大事です。
iPadを生徒が全員持っている中で、デメリットを恐れ、やらないことが一番のデメリットとは言えないでしょうか。
あとはデメリットをどう生徒にうまく説明できるかというのが教師の腕の見せ所だと思うんです。
動画作成に必要なもの
- iPad(最新のOSで)
- iMovie(無料)
- タブレットスタンド
- グリーンスクリーン(グリーンバック)
iPadは最新のOSにアップデートしておいてください。
機能が追加されていることが多々ありますので、動画作成を始める前に一律で実施させてもいいかもしれません。
動画編集はiMovieが無料ですし、操作性も良く、苦手な生徒でも感覚でできますのでおすすめです。
またメジャーなアプリなのでググればいろんな編集テクニックも調べることができます。
また、苦手な生徒と得意な生徒で差が大きく開かないように、iMovieに限定して作成させるのも手です。
また合成動画も簡単に作ることが超簡単にできます。
詳しくは別記事で解説をしますのでそちらでご覧ください。(準備中)
タブレットスタンドと、グリーンスクリーンも学校で動画を作成させる時はあった方がいいです。
必須ではありませんがそれなりのクオリティの動画が撮れます。
こちらについても別記事で解説していますのでご覧ください。


動画作成課題設定の方法
ここが一番のキモと言っても過言ではないでしょうか。
いい学びになるかならないかは学習内容のテーマ設定がとても重要です。
そう言われるとハードルが上がってしまいますので、生徒も教員も両方がイメージしやすい方法から始めて、ステップアップしていくのがいいと思います。
私もまだまだ模索中です。
下の2つの型が初めてでもやりやすいのではないかと考えています。
- テーマを揃えて、クラス内で競争する課題設定
- 教科書を軸にした深い学びを進める課題設定
テーマを揃えて、クラス内で競争する課題設定
全員または全チームが同じテーマで動画作成を進めていきます。
答えがひとつではない課題に取り組ませるのがミソです。
例えば私がやったものと言えば
「日本の三大都市圏への人口集中を緩和するためにはどんな方法があるか総理大臣になった気持ちで考えよ」
というテーマです。
地理の「人口」の単元で採用したテーマです。
人口集中を緩和させる難しいテーマですが、いろんな視点から生徒は考えてきます。
例えば、
というような説明をするチームもあれば、
というチームもありましたし、他国の人口集中緩和に成功した事例(例えば、イギリスやブラジル、オーストラリアなど)を引き合いにだし、日本の現状を踏まえてどうすればいいと考えてきたチームもありました。
また、同じテーマに設定しているので、それぞれのチームが共通の知識を持っている状態です。
質問や議論が大変活発化します。
その議論をもとに、さらに素晴らしいアイデアなどが出ることもあります。
教科書を軸にした深い学びを進める課題設定
これは手っ取り早くてやりやすい方法です。
簡単にいうと
という内容です。
教科書の内容は授業で扱っておらず、予備知識がゼロの状態でスタートしますので、まずは教科書を読んでインプットの作業を行います。
すると、わからないところがたくさん出てきます。
わからないところを解決するために参考書や参考文献を教卓にどっさり用意をしておきます。
そして解説動画を作ろうとしますが、うまく伝えられないので様々な知識を引っ張ってきたり、面白おかしく説明する方法を考えます。
アニメーションや、文字、画像、ショートムービー、音楽の挿入、演劇の手法なども入れてきます。
生徒たち授業を受けるプロなのです。
毎日授業が面白い先生と面白くない先生の授業を受け続けていますので、何がよくて何が悪いのかを教師より深く知っています。
その経験をもとに「クラスメートに理解してもらうにはどうすればいいか」を熱心に考えるのです。
インプットも何度も何度も繰り返し、アウトプットも繰り返し行うので、定着しないわけがないのです。
伝えるべき知識とそうでない知識の差別化がしづらいということです。
教師から見ると「そんなの受験では一切出ないんだよなぁ、面白いけど」というシーンがたくさんあります。
あとは、自分が担当していないページの知識が深まりづらいという欠点もあります。
他のチームが作った動画のクオリティが高ければその動画だけでも十分最低限の知識をみにつけることができますが、わかりづらいチームがあるとそうはいきません。
わかりにくい動画を作ってしまったチームをカバーするには、生徒同士の教え合いと補助授業が必要になります。
ですが、生徒が解説動画を作ろうが教員が授業をしようが、実はあまり問題ではないというのが私の今の答えです。
大事なのは自分の担当した箇所だけでもしっかりやり遂げること。
また、担当ではない箇所の勉強を自ら行う主体性を養うことが大切です。
実際、生徒も自分の担当箇所を深く学ぶことによって、他のチームの動画課題をじっくり見る姿勢が持てたと言っています。
大事なのは教科書を終えることだけではく、教科書を読んでみたいなと思わせる取り組みができるかどうかだと思うんです。
これは教師としての考え方に大きく差が出てくるところだと思います。
また、授業で教えてもらえていないという生徒が出てくるかもしれませんが、これは今まで出てきたことがありません。
と言う生徒もいました。
動画作成課題の手順
それでは、動画を完成させて、その動画をもとに学びを深めていく手順を解説します。
この通りに進めていただいたら、それなりにいい動画がたくさん出来上がると思います。
今まで私自身が中1、高1、高2で試している方法です。
- 課題の設定
- ルール決め
- 達成目標・評価基準
- 担当者・グループ決め
- 期限決め
- 修正・手直し・フィードバック
- 提出
- 評価の方法
- 振り返り
課題の設定
まずは課題を設定します。
口頭ではなく、必ず紙やPDFで明確化しておくことが大事です。
動画を作っているとほとんどが、最初のテーマからずれていったものになってしまいまいます。
いつでも立ち戻れるようにしておかないといけません。
ルール決め
動画作成はルールをきちんと決めて始めないと、チームによって、長さが違ったり、質の差が大きな動画ができてしまします。
最低限決めておいた方がいいルールがいくつかあります。
動画の長さを決めておいた方がいいです。
無駄に長い動画を作ってしまうチームがありますので制限しておきましょう。
短く内容が薄いのも出てきますので注意です。
達成目標・評価基準
達成目標と評価基準をしっかり定めておく必要があります。
では、生徒の制作意欲は湧きませんし、何のために授業時間を活用しているのか生徒は理解してくれません。
と思う生徒も出てきます。
私の場合は以下のように達成目標と評価基準を定めています。
- 達成目標と評価基準はルーブリック
- 動画作成のルールを守れているか。
- 相互評価の結果を点数化
- 教員の視点からの点数化
の4つの視点で設定しています。
達成目標と評価基準はルーブリック
ルーブリックについては詳しく別記事で紹介しようとおもいます。(準備中)
ルーブリックの評価基準は「Ungoogleable Questions」といわれるものを今は基準にしています。
つまり、答えのない問題にいかにして立ち向かっていく力を身につけるかということを大切に考えて基準を作っているんです。
動画の内容にも正解はありません。
この動画作成課題を通じてそういう力を身につけてほしいという願いを込めています。
また、ルーブリックにすることで、何を目指せば好成績が取れるのか生徒に明確化できることに加え、他チームの動画を評価する基準も大変わかりやすくなります。
よく5点満点で評価をさせるということがありますよね?
みんなどうしても優しく採点してしまうので、差がつきません。
明確に、動画の内容がどういう状態なら3点なのか、というのがわかれば正当な評価にもなりますし、評価された側は自分が作った動画の何が足りなかったのか、または何が良かったのかを理解し、次の機会につなげることができます。
動画作成のルールが守られているか
動画作成のルールは上に挙げたものです。
担当者・グループ決め
担当者やグループ決めは慎重に行います。
基本的には得意分野が異なったり、お互いの穴を埋められるようなメンバーでチームを構成してあげるといい感じになります。
- ICT機器の操作や動画作成が好きな生徒
- 真面目で勉強したり、研究したりするのが好きな生徒
- とにかく喋るのが好きで、ナレーションなども得意とする生徒
これらをうまく混ぜると高確率でうまくいきます。
偏ると、お互いに遠慮するチームになってしまいます。
また、私は2人組のチームでやった時は、クラス一の優等生と、クラス一の問題児をあえて組んでみましたが、結果は大成功でした。
これについては別の記事で詳しく解説したいと思っています。(準備中)
期限決め
期限を守ることは当たり前のことですが、生徒はこれがなかなかできませんよね。
生徒に宿題を出して、明後日までに出しなさいというと、これは比較的簡単にできるんです。
短い締め切りを設定するとできるのですが、締め切りを一ヶ月以上先に設定すると、生徒は期限が途端に守れなくなるんです。
短期的な目標は達成しやすいのですが、長期的な目標になると計画性が重要で、それがうまくいかないので提出期限が守れないのです。
宿題程度であれば、前日寝ずにやれば間に合います。
しかし、動画は1日でできるような代物ではありません。締め切り前々日ぐらいから焦り出して、結果間に合わず、平謝りに来る生徒が、毎回必ず出てきます。
動画作成の締め切りを守れるようにするためにはどうすればいいのか。
答えはすでに出ていますが、
短期的な締め切りをこまめに与えることです。
動画はより良いものに仕上げるために、私は3回の提出日を指定しています。
正確に言うと、構成も2回ほど締め切りを設定していますので、一つの動画を完成させるために5つの締め切り日を設定しています。
でも本当は、この5回の締め切り日を設定しなくても、締め切り通りにできるようになってくれるのがいちばんの理想です。
しかし、生徒はまだまだ未熟です。
締め切りを守ることの大切さ、計画を立てることの重要性を教え、身に付けてもらうために教師という存在が必要なのだとおもいます。
教師が生徒の締め切りをマネジメントすることで、締切日に全く何もできていないという悲劇を避けることができます。
修正・手直し・フィードバック
短期的な締め切り日に生徒が途中経過を出してくるたびに、教師はフィードバックをしてあげる必要があります。
私の場合は途中まで出来た動画をGoogle Driveのようなオンラインストレージに提出をさせ、それを私が見て、細かいフィードバックを文書にしてPDFで生徒に返却しています。
このフィードバックはやり方を間違えてしまうと生徒のやる気をそいでしまうので注意です。
教師がやりがちなのが
というフィードバックです。
教師が生徒に、こうしなさいというのは指導でもなんでもありません。
ただの命令です。
この命令に従うことで褒められる、評価が上がるということに慣れさせてしまうと、自らの力で物事を考えない人間を量産してしまうだけということに気づかないといけません。
私がよく生徒にコメントするのは以下のような感じです。
- 口頭での説明だけだとわかりづらいと思うよ。
- 動画の時間が少ないよね?
- 短調でメリハリを感じないなぁ。
- どこで話が変わったの?
- 好きなYoutuberの動画のいいところ真似してみたら?
- 説明が足りないんじゃないかな?
- 情報が足りないんじゃないかな?
- 漢字の読み方間違ってるところがありますよ。
- 証拠となるグラフとか図を入れてみたら?
- BGM切り替えてみたら?
- モーションが多すぎて話が入ってこないなぁ。
- 自分で作った動画を見て、わかりやすい?
- この動画、誰が見てくれるかってことを考えた?
- 教科書読んでるだけなら、動画作る必要ないよね。
- 説明の順番入れ替えてみたら?
- 何のためにこのパート必要なの?
基本的な方針はあくまでも私の感じたことを伝え、それを受けて生徒がどう考え、行動するのかを見る
ということです。
私は動画の作成のプロではありません。
ですが、一視聴者として動画を見た場合、どう感じるかというのは大事な視点です。
動画作成の素人の私でさえも感じることは、ほかの動画視聴者たちも同様に考えるようなことだとおもいます。
提出
提出のさせ方は色々考えられるとおもいますので、お好きなやり方でいいと思います。
iPadであればAirDrop機能が速くて便利です。
ただ、教師側でファイルの整理などをしないといけませんので少し面倒ではあります。
そういう時は、Google Driveなどのオンラインストレージサービスが便利です。
提出フォルダを生徒たちと共有しておけば、そこにどんどんファイルを入れてもらうといいとおもいます。
その際にはファイル名を指定して出させると整理が楽ですし、出ていないチームも一目でわかりますので便利です。
他には、Dropbox、boxなどのサービス、ギガファイル便などが使いやすいとおもいます。
評価の方法
評価の方法は
- 達成目標と評価基準はルーブリック
- 動画作成のルールを守れているか。
- 相互評価の結果を点数化
- 教員の視点からの点数化
の4つの視点から行います。
私が行っているのは
上映会を実施→相互評価→教員からの評価
で得点化しています。
上映会はなるべく大きな場所を用意してあげると、緊張感も出ますし、他の教職員も見に来てくれます。
保護者も入れたいと思っていますが私はまだ実現できていません。
プロジェクターに大きなスクリーンで映し出すと、なかなか見ものですよ。
上映後は、1チームごとに評価の時間を三分ほどとっています。
評価はClassiのアンケート機能を用いています。
Googleフォームでも実施可能です。

各生徒からの点数を後ほど集計します。
また、動画に対する意見も回収していますので、それをまとめて、動画を作った生徒に一覧にして渡してあげます。
凹む意見も出てきますが、事実としてそれを受け止めることも教育的意義があると思っています。あまりにひどいものは若干の修正をかけてあげてください。
あとは、教員側からのフィードバックもきちんとしてあげてください。
何がよくて、何が悪かったのか。
感覚ではなく、数値や言葉できちんと振り返られるようにしておきましょう。
私か過去に生徒渡したフィードバックを掲載しておきます。(準備中)
振り返り
最後に振り返りをさせます。
次回の動画作成をさらに良いものにするためには必要なステップです。
振り返りの材料としては以下です。
- 自分たちが動画を作ってみた感想
- 相互評価で他生徒から集めたデータ(教員がまとめる)
- 教員からのフィードバックデータ
以上を、元にして振り返りをさせます。
振り返りはポートフォリオに蓄積させます。
ClassiであればJAPAN e-Portfolioとも連携させることができますので、Classiの振り返りアンケート機能を用いて実施します。
もちろん紙に書かせてもいいと思います。
以上が動画作成課題の一連の流れです。
動画作成で気をつけるべきこと
動画作成はやり方次第でいろんな工夫ができますが、私なりに大切だと思うポイントをまとめておきます。
- 最終目標の明確化
- スモールステップの設定
- 提出期限の確認作業
- 詳細なフィードバック
- ポートフォリオを蓄積させる
動画作成課題で使えるテクニック
学校という教育現場で活用できる動画作成テクニックをご紹介しておきます。
合成動画作成
グリーンスクリーンを活用して、合成動画を作る必要があります。
生徒が動画に画像などを配置し、そこにナレーションを入れることもありますが、生徒が実際に登場するように合成で作るように指示しています。
クラスメートが画面に出てくるのは内容が身近に感じられますし、保護者に見せたり、オープンスクールで出したりすると大変喜ばれますのでおすすめです。
やり方に関しては別記事で紹介しています。

動画公開の方法
これもいろんな方法がありますが、データをダウンロードして管理すると色々と面倒くさいですよね。
PCのハードディスク容量も圧迫してしまいますので、お勧めしません。
私がやっているのは、Youtubeにアップです。
私は自分のチャンネルを作成しており、そこにデータを上げています。
もちろん、限定公開設定ができますので、検索にヒットさせないように配慮をしています。
Youtubeはリンクさえ共有してあげれば、生徒でも保護者でも見れますので、大変お勧めです。
また、倍速で見れることも大きなメリットだと思っています。
私は、Youtubeに動画をアップ→再生リストの作成→再生リストを生徒や保護者に共有(Classiなどで)
という流れで行っています。
保護者が本当によく喜んでくれます。
うちの子がここまでできるとは思わなかったというのが最も多いコメントです。
学校での頑張りを保護者に見せられるということは大変素晴らしいことだと思います。
生徒は思春期で嫌がりますけど、教員が生徒と保護者の間をつないであげる役目をするのもとても大切なことだと思います。
動画学習を終えた、生徒の感想
動画学習の最後にポートフォリオを蓄積させていますが、その一部を掲載します。(準備中)
さらに学びを深化させるために
動画制作をすると、生徒は大変多くの知識を身につけることができます。
課題を終えたあと、授業時間に余裕があるのであれば、質問タイムや課題を与えてアクティブラーニングを実施することもできます。
特に質問タイムはぜひやってみてください。
いつも赤点の生徒が人が変わったように専門的な知識を駆使して、質問者に回答しようとする姿は涙が出そうなほど感動しますよ。
特に、同じテーマに取り組ませたチーム同士の議論は大変活発化します。
まとめ
以上で動画作成課題についての事例説明を終わりにしたいとおもいます。
動画作成は机に座って授業を聞いていたり、グループ学習をただやらせるだけでは得られない教育的意義が沢山あると私は感じています。
これが正解かどうかはわかりません。
ですが、ここまで記事を読んでいただけたので有れば私の想いは伝わっていると信じています。
動画作成課題で得られるのは、動画制作技術だけだと思われがちですし、受験にも必要ないと思われがちですがそうではありません。
いずれ社会に旅立つ生徒たちが、一つのものを計画的に作り上げる過程の中で、社会の仕組みや、期限を守る大切さ、人に考えや思いを正確に伝える難しさを学ぶことができます。
その経験を元に、今後自分の人生をどう歩んでいくかということを他の中学生や高校生よりも一歩先に進んで選択することが可能になると考えています。
受験で必要なことを教えることはもちろん大切です。
ですが受験が全てではありません。
それよりも、自分の受け持った生徒たちが未来を明るく生き抜いて行けるように導くことが教員にとってとても大事なことではないかなと思っています。
記事が参考になれば幸いです。
ぜひ、先生方の取り組みを共有していただけたら嬉しいです。