進路指導

不登校の生徒を導く方法(事例あり)

今の時代どの学校にも不登校の生徒はいるのが現状です。

本校の地方の私学ですので、公立中高になじめなかった生徒が割と多く在籍します。

今回はその不登校の生徒を導くためにはどうすればいいのかについて記していきたいと思 います。

私は元々民間の出身ですから、教育について大学時代から学んでいたわけではありませんので正解かどうかは分かりませんが、自分なりに成果が出たと思っている方法を書きたいと思います。

偉そうに持論を展開しますので、正しいか正しくないかの判断をお任せします。そもそも 教育に正解はないのかもしれませんが…

結論

1.生徒の顕在化していないニーズを引き出すこと

2.本人が気づいていない潜在的な課題をあぶりだすこと

3.本人が希望している明るい未来を具体的にイメージさせること

この3つが大変大事だと思っています。

よく周りの教員でも見かけますが、

「俺の言うことを聞かないからうまくいかないんだ」とか

「何度言えばわかるんだ」 という人がいます。

 これでは永遠に生徒を導くことは難しいでしょう。 基本的に教師の言うことをすべて信じるのはいわゆる「いい子ちゃん」であって、学校で は高い評価を得やすい傾向にあると思いますが、私は教師に物申す生徒の方がよっぽど賢 くて将来を期待できるなと感じています。

ただ、「きつい」「だるい」等の不平不満をいう生徒は別ですが、「私はこう思います 。」「先生の言うことが理解できません。なぜなら事実はこうだからです。」という生徒 は、現状を冷静に見つめ、課題を明確化し、事実に基づいて持論を展開する子が多いのです。 

そういう未来を生き抜く力を持つ生徒を「いうことを聞かないダメなやつ」とレッテルを張り、杜撰な対応をする教師は本当に教師をやめてほしいなとつくづく感じます。いわゆる生徒保護者からしたら「ハズレの先生」だと思います。昔は通用しましたが、今は完全に生きた化石です。

 私の事例を今回は一つ書きます。

中学から本校に通う高校3年生の女の子でした。 高2までは当たり前に学校に来ていましたが、高3になってからです。 担任は持ち上がりでした。容姿端麗の美人です。男にもモテて素行もあまりよろしくありません。

そんな彼女は、進路を決める時期に入っていますが、クラスで一人だけ学校に来たり来なかったりしています。他の生徒はAOや推薦でどんどん進学先が決まっていく中で、一人だけどうにもこうにも行かない状態です。

毎日担任が家に電話し、

「このままでは卒業もできないから学校に来なさい」

と連絡をしますが、一向に来ることがありません。 

「そんなのでくるわけないよなぁ」

と思いながらも年上の教員なので口は出さずにいました。

そうして月日は過ぎ、ついに本校の規定の欠席数を超えてしまう日が来ました。 つまり、単位がもらえず卒業できない状態です。
 2、3人の教師が対応していましたが、 全く改善することはありませんでした。

そこで進路検討会で担任がお手上げ状態でしたので、彼女は私が担当することにしました。なぜなら授業も以前担当したこともあり、人間関係もある程度出来上がっていたからです。

「もしもし、明日学校に来てくれないか。もう卒業難しいから今後の話をしよう。」

「わかりました。明日は先生との面談だけ行きます。」

あっけなく、彼女は来ることになりました。

今まで彼女が来なかった理由は何でしょうか。
上の文章を読めばお分かりかと思います。

翌日彼女と面談をしました。

こちらからまず聞いたのは「なぜ学校に来ないのか」ということです。 担任にはだるいから行きたくないと言っていたようですが、本人が話し始めました。

「クラスが変わってから仲良かった友達と喧嘩して、学校に行きづらくなったからです」

「そうか。でも別にほかの友達もいるだろう?」

「はい…」

とっさに、これは不登校の理由ではないと確信しました。 表面的にはダルさや友人関係を理由にしていますがそうではなさそうです。

「本当の理由は何なの?進路のことか?」

「はい、実は進路のことでも悩んでて…」 どうも話をしてみると、いくつかの理由があるようです。 ダルさ、人間関係、進路、彼氏と別れた、クラスになじめない等様々出てきましたが、全部聞きました。

それでも本人は腑に落ちない様子です。

おそらくですが、潜在的になにか本人が気づいていないことがあるのでは?と私は感じま した。

そこで、模試の結果を手元に持っていましたので、志望校を確認しました。 書いてある大学はすべて学校の近隣の大学でした。学部や学科はバラバラ。やりたいことが見つかっていないのは明らかでした。

「なぁ、この志望校一覧の中に行きたいところ一つも書いてないだろう?」

下を向いていた生徒は急に私の目を見て言いました。

「はい。ありません。」

話を聞くと、本人の家庭は母子家庭でお金がないので遠くの大学に行けないということ、特に行きたい大学はないが、専門学校や就職する気はない。 ただ、将来のために漠然と四大進学を希望しているということでした。

学校の進路指導がうまくいっていないことも原因ではあると思います。

 しかしながら、生徒が進路希望調査の紙に書いて出してくるのはいつも本人が本当に願って書いているものではないということを改めて痛感させられました。

「あのさ、本当は東京に行きたいんじゃないの?」

「え?・・・はい」

「芸能界とかチャレンジしたいんじゃないの? でも、不安定な職業だから親も心配させたくないし、失敗したときのためにきちんと生きていけるすべも手に入れたい。そうじゃないか?」

「なんでわかるんですか?!」

二人で笑いながら話しました。

それから、彼女は別人のように明るくなりました。

今私が上で言ったことはなんとなく思っていたけど、母のことや安定性の面から口に出して言えなかったとのことでした。

だから悩んで悩んで、結局一人でこもるようになってしまったと。 道が開けると、若い生徒は一気に人は変わったようになります。

私自身が学生時代は東京に住んでいた人間なので、東京のいいところ悪いところ、楽しかったこと、つらかったこと、いろいろ話しました。

「志望校、また一緒に探そう。きっといいところが見つかる。」

「はい。最後まで先生宜しくお願いします。あきらめずに頑張ります。」

そういうと彼女は深々と頭を下げて帰っていきました。

翌日、お母さんが学校に来られました。 校長と話をしていました。

事務の人に

「先生、校長がお呼びです。Aさんに東京行き、けしかけたんですって?校長 が言ってましたよ。」

Aさんが母子家庭で金銭的には厳しい家庭だということは校長も知っています。 私は

「ああ、怒られるかなぁ。まぁいっか。」

応接室にノックしてはいると、校長と涙を流している保護者がいました。 やってしまったか。失敗だったかな。

そう思った瞬間でした。 保護者が私に声を掛けました。

 「お世話になります。Aの母です。〇〇先生ですか?この度は本当に娘を救っていただき 、ありがとうございました。」

あっけにとられましたが、どうも失敗はしていなかったようです。

娘が昨日家に帰ってきてから別人のように、将来のことを語りだしたこと。 自分の進みたい道を初めて明確に答えたこと、私が話したことなど、多くを夜な夜な話し合ったそうです。

「私、決めました。娘を東京の大学に入れてやりたいんです。母子家庭ですが、私は貯金が趣味ですので稼ぎは少ないですが、大学4年間は費用を出せるぐらいは蓄えていますので、ぜひとも宜しくお願いします。」

今まで、自分は少ない稼ぎの中で貯金を増やすために娘に相当な苦労を掛けていたことや 、仕事で将来の話などをあまりしてやれなかったことを悔いていらっしゃいました。

涙を流しながら話す姿に、本当に喜んでいるのが伝わってきました。

「明日から娘は毎日学校に通って勉強するといっています。ぜひよろしくお願いします 。」

生徒を不登校から救い出すには

1.生徒の顕在化していないニーズを引き出すこと

2.本人が気づいていない潜在的な課題をあぶりだすこと

3.本人が希望している明るい未来を具体的にイメージさせること

それから彼女は毎日学校に来ています。遅刻もせず、別人になったようです。 いや、別人というか、本来の力を開花させたのかもしれません。

今の私はこれが最も大切な考え方だと思っています。

教えるのではなく、そっと軌道修正してあげるだけでいいんです。

教師の在り方は変わりましたし、変わるべきです。

いうことを聞かないのは生徒ではなくて、教師の方がよっぽど多いんじゃないかなと思っています。

これは私が民間で仕事をしていた経験が大きく活きたと思っています。
いわゆるこの流れはソリューションの一種なんです。

顧客の潜在的なニーズを引き出し、一歩先の提案をすることで、成果が生まれる。

IT系で働いていた経験が生かされています。

このバランスをとるのはセンスも必要かもしれません。

ですが、生徒にとって何が一番大切かと常に考えられる教師であれば、おのずと答えが見つかるはずだとおもっています。

大変長くなり恐縮ですが、最後まで読んでいただき、感謝いたします。ではまた。

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